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今日は、NPO法人多様性と境界に関する対話と表現の研究所(通称:ダイバージョン)の井尻貴子さんと三宅博子さんをゲストにお迎えします。 いま、「多様性」(diversity)という言葉は、社会のなかで大きな意味を持っています。国や地方自治体による福祉政策も充実し、企業が障害者雇用を率先して実施することや、社会貢献事業などを行なうことも当たり前になってきました。そうした社会環境の整備に伴い、日常生活において、多様性を意識することは増えてきているように思われます。しかし実際の社会には、いまなお多くの「線引き」があり、人々は同化と排除のはざまで苦しんでいると言えます。 本来、人々のあいだにある「境界線」(division)や、ひとつの言葉が持つ概念的枠組みは、流動的なものであるはずです。時期、場所、社会環境などに応じて、つねに多数派と少数派、常識と非常識は入れ替わり、重層的かつ複層的な境界線を、自他ともに引き続けながら生活しています。とすれば、私たちは、生きるなかで、言いようのないもどかしさややりきれなさ、つらさやしんどさなどを感じたとしても、抜け道をみつけたり、寄り道をしたりして、歩きぬくことが可能なのではないでしょうか。ひとりひとりがその「生きぬくための技法」を獲得することは、現代社会に暮らす私たちにとって重要なのではないでしょうか? 今日、ゲストにお迎えするNPO法人多様性と境界に関する対話と表現の研究所の井尻さんと三宅さんたちは、これまで研究者や実践者としての立場から、多様な背景をもつ人々の表現活動に関わってこられました。障害のある人やセクシュアル・マイノリティなどの表現活動に携わった経験をもとに、彼女たちがこれから目指してゆきたいのは、「多様性」と「境界」に関する諸問題に対して、「対話」と「表現」を通じ、新たな「迂回路」(diversion)を作ること、だそうです。では、実際、彼女たちはどのような現場に赴き、そこからどのような具体的な対話の場づくりを行っているのか。とりわけ障害福祉現場での事例を交えながら、このダイバージョンという団体のミッションに迫ります。 |