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聖書の箇所……旧約聖書・創世記16章1-16節(アブラムとサライとハガル)
ハガルとサライの対立は「女性同士の醜い争い」という風に受け止められがちですが、実際にはこの2人の女性はどちらも「女性は夫の嫡男を産む以外に存在価値はない」としてきた男性優位社会の被害者なのです。アブラムはまるで呆れているように振る舞っていますが、最大の加害者が自分であることには気づいていません。
ハガルはアブラムの家族からの虐待の結果、逃げ出そうとしますが、主の天使に「戻りなさい」と告げられます。それは、それ以外に生きる場所がなく、独りで逃げることは死を意味するからです。
主の天使は、ハガルがやがて産む子を「イシュマエル」と名付けなさいと告げます。それは「神は聞いている」「神は聞いてくださる」という意味です。これに対してハガルは「あなたこそ『エル・ロイ』です」と答えます。それは「神は見ている」「神は見ていてくださる」という意味です。
異民族であり、奴隷であり、女性であるという三重の重荷を負ったこの人の苦悩に、神はしっかりと耳を傾け、眼差しを向けてくださるということなのです。
この男女の格差の問題は、古代の昔話としては片付けられません。現代の世界でも格差はしっかりと存在し、男性はこの優位に鈍感なままあぐらをかいています。この不公平な状況も、神がしっかりと聞き、見ているのだということを認識しましょう。 |